令和5年度化学物質安全対策(我が国のフロン類削減等に係る政策執行等のための国際動向調査)報告書

掲載日: 2024年5月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室
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令和5年度化学物質安全対策(我が国のフロン類削減等に係る政策執行等のための国際動向調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和5年度における我が国のフロン類削減等に係る政策執行のための国際動向調査について書かれた報告書である。経済産業省が株式会社野村総合研究所に委託して実施された調査であり、モントリオール議定書の国際会合への参加とハンドブックの更新、および海外各国の規制動向調査を主要な内容としている。

国際会合では、2023年7月にタイ・バンコクで開催されたモントリオール議定書第45回公開作業部会と、多国間基金執行委員会第92回会合への出席を通じて、フロン類規制に関する最新の国際動向を把握した。特にキガリ改正に関連するHFC削減のコストガイドライン策定、冷凍サービス部門における資金水準とモダリティ分析、エネルギー効率性の維持向上に関する議論が行われ、5条国と2条国の間での資金調達メカニズムについて詳細な検討がなされた。

海外規制動向調査では、欧州連合のREACH規則におけるPFAS規制提案が重要な焦点となっている。2025年のEU委員会採択、2026年後半の施行予定で、ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質の全面的な使用制限が提案されており、冷媒、洗浄剤、消火剤等の用途別に期限付き特例措置が設けられている。制限案では、低温冷凍用冷媒は発効後6.5年、工業用精密洗浄液は13.5年といった段階的な移行期間が設定されている。

アジア各国の動向では、タイが2023年に温室効果ガス排出削減およびオゾン層保護に関する政令を制定し、天然資源環境省への事業者登録義務化や対象物質の回収・リサイクル・廃棄に関する新たな規制枠組みを導入した。インドネシアは2022年12月にキガリ改正に批准したものの、HFCライセンス制度は保留状態にあり、世界銀行支援によるキガリ実施計画の下で規制構築が進められている。インドは2021年9月の批准後、2024年半ばまでにオゾン層破壊物質規制管理規則の改正を計画し、段階的削減目標として2032年に基準年比10%減、最終的に2047年に85%減を設定している。