令和5年度大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)報告書
報告書概要
この報告は、大企業等人材による新規事業創造促進事業について書かれた報告書である。日本企業は既存のビジネスモデルや技術の延長線では消費者ニーズを満たせなくなっており、効率性重視の傾向から創造性が軽視されている現状がある。この課題を打開するため、経済産業省では個人の創造性発揮に関する分析や教育プログラム開発を実施してきたが、実際の企業組織において創造性人材の活躍を阻害する障壁の解消と環境整備が重要となっている。
本事業では、創造性人材の育成・評価や創造性を涵養する環境整備に関わる国内事例を網羅的に収集し、企業活動における好事例の類型化仮説を形成することを基本方針とした。予備調査では有識者インタビュー、公開情報調査、アンケート調査を実施し、「創造的な探究」「コミュニティでの共有」「挑戦と失敗の奨励」「組織価値の更新」「寄り道の体験」「外部視点の獲得」「個人の自己実現」という7つの施策類型化仮説を整理した。
ヒアリング調査では好事例の実現において担当者がどのような課題感を抱え、どのような行動をとり、何を目指して意思決定が行われたのかをエピソードとして調査した。空間づくりを伴う事例については現地訪問による詳細調査も実施した。これらの調査結果を基に、企業の創造性を高める12のヒントをまとめ、自社の創造性をチェックするツールキットを含む事例集を作成した。
今後の課題として、好事例の実践知から得られる学びの最大化と組織での実装サポート、潜在的な好事例の収集方法、創造性に関する暗黙知の深掘り調査手法の検討が挙げられている。
