令和5年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(低コスト手法普及拡大に向けた電線地中化工法の実現可能性等調査)報告書
報告書概要
この報告は、電線地中化工法の低コスト化を図るための地上施設方式について書かれた報告書である。無電柱化推進計画に基づき、従来の地中埋設工法と比較して掘削を必要としない地上施設工法の実現可能性が検討されている。前年度に整理された感電や火災のリスクに対して、暴露試験、ヒートサイクル試験、短絡試験、地絡試験、草刈機接触試験等の各種試験が実施され、高圧電線路を地上に施設する際の技術的課題が詳細に調査されている。試験結果から、管路の常規使用温度を-20℃から60℃に設定し、圧縮荷重については最低限3.0kN、想定される場所では9.0kNの耐荷重が必要であることが明らかになった。また、草刈機接触による管路貫通の可能性、水トリーによるケーブル絶縁破壊のリスク、短絡時の衝撃力、地絡時のアーク噴出等について検証が行われ、それぞれの対策が検討されている。これらの調査結果を踏まえて、電気設備技術基準の解釈改正案および新たなJESC規格案が作成され、地上施設におけるケーブル・管路等の仕様、施設方法、表示方法等が規定されている。本研究により、公衆の安全を確保しつつ国民負担を軽減する新たな電線地中化工法の技術的基盤が整備され、今後の無電柱化推進に向けた重要な指針が示されている。