令和5年度経済産業省政策関係調査事業(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング (BPR)手法を活用した業務プロセスの見直しに関する調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省の業務効率化および組織経営改革に関するビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)手法を活用した調査報告書である。
経済産業省では行政サービスの多様化・肥大化と少子高齢化による歳出増加により、財政・人員制約が厳しくなっている中で、行政サービスの品質向上と行政コスト削減を両立させることが求められている。また若手職員の働き甲斐向上と人材確保に向けた組織経営改革の一環として、業務改革による生産性向上を実現し、職員が高いパフォーマンスを発揮できる働き甲斐のある職場環境の構築を目指している。
調査では本省職員748名に対するアンケート調査と28名への定性ヒアリング調査を実施し、業務量と業務構造、課題を詳細に把握した。その結果、月平均残業時間は35.7時間となっており、各役職が実施すべき業務に対してリソースが適切に使えておらず、特定層への業務負担の偏りが見られることが判明した。またマネージャー層が庶務業務を実施するなど、役職に応じた適切な業務配分ができていない状況が確認された。
課題の根本原因として、他律的なタスク量の増加とリソース配分・確保の両面での不足、キャリア安全性への不安、業務量増加に対する組織内での生産性改善の遅滞が挙げられている。これらの課題に対して、高負荷層を中心とした業務切出しと標準化により余力を創出し、創出された余力の適切な活用基盤を整え、生産性向上を組織に定着させる施策を提案している。
具体的施策として、庶務業務の切出し、企画業務の作業切出し、オペレーションの型整備、プロジェクトマネジメントの型整備、リソースの機動的運用基盤整備などを挙げている。さらに改革推進には複層的なアプローチが必要であり、制度整備だけでなく人事施策やカルチャー改革とセットでの実施が重要であることを強調している。実行に向けては3段階のロードマップを提示し、まず外部化を中心としたリソース創出から着手し、段階的に仕事の進め方の本質的改革まで進める計画を示している。
