令和5年度重要技術管理体制強化事業(機能性材料に係る重要技術動向調査)調査報告書

掲載日: 2024年6月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局素材産業課革新素材室
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報告書概要

この報告は、日本の機能性材料に係る重要技術動向と経済安全保障の観点から実施された調査について書かれた報告書である。

経済産業省からの委託により株式会社富士キメラ総研が実施したこの調査では、日本の素材産業が持つ高い競争力と経済安全保障上の重要性を背景に、機能性材料681品目を対象として市場動向と技術動向の分析が行われた。調査対象は重要機能性材料613品目と先端機能性材料68品目に分類され、高機能ポリマー、ファインセラミクス材料、エレクトロニクス材料、エネルギー材料など幅広い分野をカバーしている。

調査方法としては、データベースと公開情報による品目整理、重要品目の抽出、26品目50社へのヒアリング調査、そしてサプライチェーンリスクの分析という4段階のプロセスが採用された。ヒアリング調査では、海外リスク、技術的優位性、サプライチェーン、技術的チョークポイント、総合評価など包括的な項目について詳細な聞き取りが実施された。

調査結果では、重要機能材料と先端機能材料の市場規模がそれぞれ約82兆円から124兆円、約1兆5千億円から約2兆6千億円へと大幅な成長が予測されている。日本企業は調査対象品目の約30.5パーセントで50パーセント以上のシェアを保持しており、技術的優位性を示している一方で、一部品目では中国企業の買収などによりシェアが大きく低下している事例も確認された。

サプライチェーンの課題として、レアアース・レアメタル、無機鉱物原料、石油化学原料への海外依存度の高さが指摘されており、特に中国への依存が顕著である。技術的チョークポイントでは、機能性粉体の粒子制御技術、重合・ポリマー技術、ナノテクノロジーなどで日本が優位性を持つものの、人材流出による技術流出への懸念も示されている。