成果報告書令和5年度産業経済研究委託事業(グリーンイノベーション基金事業に係る EBPM に関する調査)
報告書概要
この報告は、令和5年度産業経済研究委託事業としてグリーンイノベーション基金事業に係るEBPM(エビデンスに基づく政策立案)に関する調査について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて造成された2兆円のグリーンイノベーション基金事業において、政策効果を適切に測定・評価するための調査手法の精緻化を目的としている。調査の実施内容は大きく3つの要素から構成されており、第一にアウトカム目標における測定方法の精緻化及び算定として、国際的競争力の短期アウトカム目標についてはVRIO分析を用いて各プロジェクトの競争優位性を評価し、民間投資誘発の中期アウトカム目標については企業の事業戦略ビジョンにおける投資計画の考え方を整理している。第二に各プロジェクトの市場動向等を踏まえた基金事業全体におけるCO2排出削減効果及び経済効果に対する期待値の推計モデルを構築しており、研究開発の成功率と普及確率をプロジェクト毎に算定し、これらを基にCO2排出削減効果及び経済効果の期待値を基金事業全体とプロジェクト毎に算定している。第三に政策評価の考え方を整理し、基金事業の有効性を把握するためのアンケート項目を検討している。調査では令和5年10月時点で組成されている20プロジェクトを対象とし、事業実施事業者8社に対するヒアリングを実施し、基金事業の効果を定量的に測定するための手法を確立している。これらの調査結果により、グリーンイノベーション基金事業の政策効果を科学的根拠に基づいて評価し、事業成果の最大化に向けた効果検証を可能とする枠組みが構築されている。
