令和5年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(消費財サプライチェーンにおける商流・物流オペレーション標準化検討)」報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施された流通・物流の効率化に関する基盤構築事業について書かれた報告書である。我が国では2010年代前半から物流需給が逼迫し物流コストが上昇する構造的危機を抱えており、この状況を放置すれば物流機能の維持が困難となり経済全体の成長制約となる恐れがある。こうした事態を回避するため、経済産業省と国土交通省は2021年10月に「フィジカルインターネット実現会議」を立ち上げ、2040年を目標とした「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定した。フィジカルインターネットとは、インターネット通信の考え方を物流に適用した新しい物流の仕組みであり、デジタル技術を駆使して物資や倉庫、車両の空き情報を見える化し、規格化された容器に詰められた貨物を複数企業の物流資産をシェアしたネットワークで輸送する共同輸配送システムである。本事業では、アクションプランの重要項目ごとに4つのワーキンググループを設置して検討を行った。具体的には、商流・物流におけるコード体系標準化、物流資材の標準化および運用検討、取引透明化に向けた商慣習検討、データ共有による物流効率化検討の各分野において、消費財分野におけるメーカー、中間流通・卸、小売が連携した製・配・販連携協議会のもとで実証実験を含む具体的な検討が実施された。物流サービスの明確化とメニュープライシングの導入に向けたガイドラインが策定され、今後の実効性向上のための環境整備と継続的な取り組みの方向性が示されている。