令和5年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(鉱山における危害防止のための実態調査)事業報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施した令和5年度の鉱山における危害防止のための実態調査について書かれた報告書である。鉱山保安マネジメントシステムの効果分析を通じて災害防止対策の強化を図るため、第14次鉱業労働災害防止計画の策定に向けた調査が実施された。本調査では399鉱山のマネジメントシステム構築状況の自己点検チェックリストと災害発生状況の相関分析が中心的に行われた。平成30年から令和4年の期間において、各鉱山から提出された20項目の自己点検チェックリストについて、4つから5つの詳細項目における回答状況の傾向を分析した。分析手法として因子分析、項目応答理論、リスク比による分析などの統計的手法を用いて、災害発生鉱山と非発生鉱山の比較検討を実施した。さらに16鉱山を対象としたアンケート調査と8鉱山での現地ヒアリング調査を通じて、マネジメントシステムの実際の取組内容や効果について詳細な実態把握を行った。調査結果では、保安方針の浸透や鉱山労働者の意見反映などの項目において、鉱山間での取組状況に差があることが判明した。特に安全手帳やポケットカードの配布については実施率が低く、その必要性について疑問視する声も上がった。一方で保安委員会を通じた議論の場の設置や、保安計画への労働者意見の反映については多くの鉱山で実施されていることが確認された。これらの分析結果は、今後の鉱山保安対策の改善方針や支援ツールの開発、研修内容の充実などに活用される予定である。
