令和5年度化学物質規制対策(化審法における製品規制の普及啓発等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)における輸入禁止製品の規制について普及啓発を行った調査の報告書である。
令和5年度に一般財団法人化学物質評価研究機構が経済産業省の委託により実施したもので、化審法第24条に基づく第一種特定化学物質を使用した製品の輸入禁止規制の実効性確保を目的としている。調査は説明会の開催と製品の試買調査の2部構成で実施された。説明会では輸入事業者や関係省庁に対して法規制の周知徹底を図るため、東京・大阪の対面会場とオンラインで計3回開催し、合計577名が参加した。参加者アンケートでは撥水・撥油剤や撥水・撥油加工製品を取り扱う事業者が最も多く、ペルフルオロヘキサンスルホン酸やペルフルオロオクタン酸等への関心の高さが示された。
製品の試買調査では、ポリ塩化ナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ペンタクロロフェノール又はその塩若しくはエステルの3種類の第一種特定化学物質について、それぞれ含有が疑われる製品を市場から購入して分析を実施した。ペンタクロロフェノール含有製品の調査では、防腐剤、防虫剤、にかわ、防腐木材、防腐合板の6試料について超音波抽出と液液振とう抽出による前処理を行い、ガスクロマトグラフタンデム質量分析計による定量分析を実施した。分析の結果、調査対象の全6試料においてペンタクロロフェノールは定量下限値0.02µg/g未満で不検出となり、違法な含有は認められなかった。この調査により第一種特定化学物質による環境への影響が未然に防止されていることが確認され、化審法の輸入禁止規制が適切に機能していることが示された。
