令和5年度新エネルギー等の保安規制高度化事業 低GWP冷媒等の冷凍設備への充填に係る課題の整理検討 調査報告書
報告書概要
この報告は、冷凍設備における低GWP冷媒へのレトロフィット(冷媒ガス入れ替え)の安全実施に関する課題整理と対応策について書かれた報告書である。現行の高圧ガス保安法ではレトロフィットを想定した規定が整備されておらず、これにより冷凍設備における冷媒ガス変更が困難な状況となっている。本調査では、一般冷凍設備に加えて指定設備および冷凍保安責任者不要設備を対象として、レトロフィット実施時の課題を詳細に検討し、その解決策を提示している。主要な課題として、現地での耐圧試験実施困難性、強度確認方法の不明確性、部品交換時の証明書類整備などが挙げられ、これらに対してガイドライン策定と省令・通達改正案を提示している。指定設備については、製造業者事業所での試験実施義務により現地でのレトロフィットが困難であったが、現地での試運転・気密試験実施を可能とする改正案を示している。また、冷凍保安責任者不要設備についても同様の課題があり、現地での必要試験実施を認める方向性を提案している。ガイドラインでは、耐圧試験合格と強度確認の代替方法として、設計圧力が同一である場合の外観目視検査による確認方法を確立し、機器製作者による適合冷媒ガス情報の公表を義務付けている。省令改正案では、特定不活性ガス間でのレトロフィット時における指定設備認定証の有効性維持を規定し、通達改正案では新たにレトロフィットの定義を明確化している。これらの改正により、安全性を確保しつつレトロフィット実施が可能となる法的枠組みが整備される見込みである。