令和5年度化学物質規制対策(規制化学物質に関する国際的な動向調査)報告書

掲載日: 2024年6月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課
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報告書概要

この報告は、令和5年度における化学物質規制対策として実施された、規制化学物質に関する国際的な動向調査について書かれた報告書である。経済産業省が化学物質管理に関連する国連の多国間条約であるストックホルム条約(POPs条約)および国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(PIC条約)への対応として実施された調査結果をまとめている。

調査の主要な対象となったのは、POPs条約の規制候補物質であるメトキシクロル、デクロランプラス、UV-328、中鎖塩素化パラフィン、長鎖ペルフルオロカルボン酸とその塩及び関連物質、クロルピリホスである。メトキシクロルについては化審法における新規化学物質に該当し、農薬取締法での登録も1960年に失効していることから、現在国内では使用されていないことが確認された。デクロランプラスは化審法における一般化学物質で製造輸入数量の届出対象物質となっており、オーストラリア、カナダ、中国、EU等の複数の国で制限または禁止する規制プロセスが進行している。UV-328も化審法における一般化学物質で製造輸入数量の届出対象物質であり、EUでは高懸念物質として特定され、スイスでは2024年8月より使用が禁止されている。

クロルピリホスについては詳細なリスクプロファイルが作成され、その生物蓄積性について魚類における生物濃縮係数(BCF)が1,000~2,000の範囲で中程度の生物濃縮を示すことが明らかとなった。特に高い毒性との組み合わせにより、中程度の生物濃縮であっても有害影響を引き起こす体内濃度に達する可能性があることが懸念されている。また、遠隔地での様々な栄養段階の生物相や最上位捕食者、母乳からも検出されており、子孫への影響が懸念される状況にある。調査では第11回POPs条約締約国会議、第19回残留性有機汚染物質検討委員会、第19回PIC条約化学物質検討委員会への参加を通じて国際的な議論の動向を把握し、OECDにおける化学物質規制動向についても情報収集を行った。これらの国際会議での検討状況を踏まえ、今後の国内における化学物質管理制度への適切な反映を図るための基礎情報が整理されている。