令和5年度製造基盤技術実態等調査(水ビジネスの海外展開と動向把握の方策に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施された日本の水ビジネス企業の海外展開実態と今後の方策について書かれた報告書である。経済産業省が株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルに委託し、令和4年度における本邦水関連企業248社を対象としたアンケート調査を中心に実施された。調査の結果、日本の水ビジネス企業の海外売上高は前年度から減少傾向を示しており、特に中小企業における海外展開の困難さが浮き彫りとなった。主要な課題として、価格競争での劣勢、パッケージ売りへの対応不足、先進技術の海外展開における実績不足などが挙げられている。一方で、膜技術分野では日本企業が世界市場の60%以上を占めるなど、技術的優位性を持つ分野も存在する。政府の戦略としては、インフラシステム海外展開戦略2025に基づき、脱炭素社会への対応とデジタル変革を重視した施策が推進されている。今後の方策として、国際協力事業への参加促進、強みのある製品を活かした展開、産業用途でのビジネス拡大、海外パートナーとの連携強化の4つの柱が提示された。特に膜技術や管路維持管理技術については、国内での実績を活かした海外展開が期待されており、政府による研究開発支援や実証機会の提供が重要とされている。また、中小企業の海外展開を支援するため、パッケージ売りの推進や現地企業との関係構築支援が必要であると結論付けられている。
