令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流施設における協働ロボットの効果的な活用事例の創出)調査報告書

掲載日: 2024年6月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課物流企画室
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令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流施設における協働ロボットの効果的な活用事例の創出)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、物流施設におけるピースピッキング工程での協働ロボットの効果的な活用について検証した報告書である。物流業界では労働力不足が深刻化しており、特に受注に対して商品を単品ごとに在庫から取り出すピースピッキング作業は時間と労力を要するため、ロボット導入による自動化の効果が期待されている。しかし現状では、投資対効果の問題、施設への適用柔軟性の課題、ピッキング技術の限界などにより、中小企業での導入が進んでいない状況にある。

本調査では、三菱HCキャピタル、ビックカメラ、山善が共同で、令和5年度の国の委託事業として実証実験を実施した。調査の主要な内容は、物流施設のピースピッキング工程で協働ロボットを活用する複数のユースケースの整理と、人とロボットの効果的な役割分担を実現するための環境整備項目の明確化である。また、優先度の高い環境整備項目について実証実験を行い、ロボット稼働環境の安全性、作業効率性、業務対象物への柔軟性について検証を実施した。

検証項目として、対象物認識のためのデータ整理、プレース動作の成功率向上、人とロボットの役割分担、効率性を保つ安全策の4点に焦点を当てた。実証実験では様々な商品を用いてピッキング性能を測定し、マスターデータの有無やAI活用による認識精度の違いを検証した。その結果、商品の形状やサイズ、材質によってロボットの成功率に差があることが確認され、特に透明素材や反射素材、複雑形状の商品については課題が残ることが明らかとなった。