令和5年度産業経済研究委託事業(諸外国における託送料金制度に関する調査事業)成果報告書(公開版)

掲載日: 2024年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 電力・ガス取引監視等委員会事務局ネットワーク事業制度企画室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和5年度産業経済研究委託事業(諸外国における託送料金制度に関する調査事業)成果報告書(公開版)のサムネイル

報告書概要

この報告は、欧州各国における託送料金制度について書かれた報告書である。経済産業省の委託により、有限責任監査法人トーマツが2024年1月に作成したものである。欧州では送配電網建設・運用コストの最適化や効率的な立地誘導を目的として、地点別、電圧別、季時別等の多様な託送料金制度が導入されている。主要調査対象国は英国、スウェーデン、ノルウェー、アイルランド、ドイツ、フランスである。英国では全土を27の発電側ゾーンと14の需要側ゾーンに分割し、潮流計算に基づく地点別料金を設定している。スウェーデンでは緯度と送電ロス率を基準とした地点別料金制度を採用し、ノルウェーでは約200地点における送電ロス率と発電所への近接性を考慮した料金設定を行っている。アイルランドでは接続点毎の将来ピーク需要予測に基づく系統拡充費用を反映させている。一方、ドイツでは国内法により発電側課金が認められていないため、地点別料金制度は導入されていない。各国の制度設計思想として、系統潮流の変化を正確に把握して料金に反映させることや、地域ごとの系統増強コストの適切な配分、料金の安定性確保が重視されている。発電・需要地の分布分析では、南部地域への風力発電やデータセンターの立地集中が確認され、託送料金による立地誘導効果の存在が示唆されている。ノルウェーのTSOであるStatnettへのヒアリング調査では、地点別託送料金が発電所や大規模需要家の立地選定に一定の影響を与えているものの、投資コストや市場価格等の他の要因と比較すると限定的であることが明らかになった。