令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(分散型エネルギーリソースの更なる活用・普及推進に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、分散型エネルギーリソース(DER)の活用・普及推進について書かれた報告書である。野村総合研究所が実施した調査では、ERAB・分散リソース関連事業の活性化に向けた実証事業の実施、取引ルールやサイバーセキュリティ対策の検討、市場活性化支援が行われてきた背景を踏まえ、令和4年度に設立された「次世代の分散型電力システムに関する検討会」における分散リソースの価値発掘・評価および分散型システム構築の検討状況がまとめられている。調査目的は、系統全体や配電系統といった電力システム内でDERの潜在価値を最大限活用し、アグリゲーター等事業者の更なる活躍を促進するため、解決すべき課題の洗い出しと対応策立案を行うことである。特にネガワット調整金に関しては、アグリゲーター各社へのヒアリングを通じて現状・課題整理が実施された。契約時における主な課題として、契約調整業務の負担増加、旧一般電気事業者における調整金単価の非合理性、調整契約が結べないケースの扱い、需要家からの契約先小売情報共有の遅延などが挙げられている。また、ネガワット調整契約における情報の非対称性や精算時のフォーマット統一の必要性といった課題も明らかになった。検討会は2023年6月から2024年3月にかけて第7回から第9回まで開催され、需給調整市場における低圧リソース活用、次世代スマートメーターを活用した分散型リソースの取引ルール、調整金制度などについて詳細な検討が行われ、現行制度の見直し案検討と関連審議会への意見具申に向けた取り組みが進められている。
