令和5年度原子力産業基盤強化事業(原子力機器へのAM 材適用に向けた材料データベース構築)事業報告書

掲載日: 2024年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
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報告書概要

この報告は、原子力機器への付加製造(AM)材適用に向けた材料データベース構築について書かれた報告書である。原子力産業では、3Dプリンタによる付加製造技術が従来工法では困難な複雑形状部品の高品質製作を可能とし、設計自由度の拡大と製造効率化を実現する技術として注目されている。東日本大震災以降の原子力プラント停止により製造機会が減少し、技術継承問題や原子力事業撤退が進む中、AM材適用は新規参入機会創出と産業維持に寄与すると見込まれる。しかし原子力製品への適用には品質統一のための規格制定が必要であり、そのためには複数メーカーによる協業でのデータ蓄積が不可欠である。報告書では、三菱重工業、東芝エネルギーシステムズ、日立GEニュークリア・エナジー、IHIの4社が連携し、オーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lを対象材料として、粉末床溶融結合法とレーザー肉盛法による材料特性データベースを構築した。STEP1では検証プロセス方法の妥当性確認として4社独立での試験片製作と材料試験を実施し、硬さ、組織、化学分析、引張試験を行った。STEP2では規格化に向けた本格的データ取得として応力腐食割れ試験等を実施し、2024年度計画としてモックアップ検証も策定した。得られた材料特性データは日本機械学会の規格検討にフィードバックされ、2025年度以降の原子力分野AM材規格制定に活用される予定である。