令和5年度原子力産業基盤強化事業(原子力分野における国際協力枠組み等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度原子力産業基盤強化事業における国際協力枠組み等に関する調査について書かれた報告書である。世界的な気候変動対策とエネルギー需要の拡大に伴い、原子力利用の国際的な拡大が進む中、日本の原子力政策への影響分析と産業基盤強化を目的として実施された調査結果をまとめている。
事業内容として、まず原子力分野の二国間協力に関する調査では、2024年1月にワシントンDCで開催された日米ラウンドテーブル年次会合に参加し、両国の原子力政策に関する議論動向を把握した。同会合では、COP28での原子力発電3倍宣言、先進型炉の展開、人材確保、HALEU燃料調達などの重要課題について産官学の代表者による活発な討議が行われた。また、海外原子力産業市場の調査では、米国市場におけるHoltec、Westinghouse、GE-Hitachi、NuScaleの動向と、カナダ市場におけるOPG、Bruce Powerなどの事業状況を詳細に分析した。
さらに、国内外の会合企画・運営として、2023年8月に米国、2024年2月にカナダへの官民サプライヤミッション団派遣を実施し、現地電力事業者やプラントメーカーとの技術交流を促進した。2024年3月14日には第2回原子力サプライチェーンシンポジウムを開催し、齋藤健経済産業大臣やIAEAグロッシー事務局長をはじめとする産官学代表者による講演と、サプライチェーン強化をテーマとしたパネルディスカッションを実施し、国内外11か国から約400名が参加した。このシンポジウムでは学生向けの原子力サプライヤ合同企業説明会も併催し、人材育成にも貢献した。
最後に、原子力サプライチェーンプラットフォーム(NSCP)の企画・運営では、2023年9月にホームページを立ち上げ、約120社の参加企業に対して補助金情報、技術動向、海外協力関係などの各種情報共有を行った。これらの取り組みを通じて、日本の原子力産業の国際競争力強化と持続可能な原子力利用の推進に寄与する基盤整備が進められた。
