「令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(店頭商品デリバティブ取引の実態等調査)」報告書

掲載日: 2024年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局商務・サービスグループ 商品市場整備室
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「令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(店頭商品デリバティブ取引の実態等調査)」報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、店頭商品デリバティブ取引の実態等調査について書かれた報告書である。経済産業省委託事業として2024年3月に実施された本調査は、リーマンショック以降に重要性が高まったシステミック・リスク回避の観点から、店頭商品デリバティブ取引の取引実態把握を目的としている。金融安定理事会やIOSCO等の国際機関において金融システムの安定確保に向けた議論が活発化する中、日本においても店頭商品デリバティブ取引の実態を踏まえた規制制度の検討が求められている。

調査は商品先物取引業者138者を対象として実施され、令和4年1月から令和6年2月までの期間における取引実態についてアンケート調査を行った。取引先数、契約区分、取引方法、商品名、原市場、月間取引量、月間取引金額及び月末建玉残高等の項目について月次データでの報告を求めた。調査対象となる取引は、差金決済取引、現物受渡し取引、商品指数取引、スワップ取引、オプション取引等である。

海外事例調査では、EU及び米国における店頭デリバティブ取引の取引報告制度について文献調査を実施した。EUではEMIR規則により詳細な報告義務が定められており、取引報告機関への報告が求められている。報告項目は取引相手方情報、取引詳細、リスク軽減措置等多岐にわたっている。米国ではドッド・フランク法に基づきCFTCが規制権限を有し、スワップデータ蓄積機関への報告義務が課されている。報告タイミングは取引実行の翌営業日までとされ、128項目の詳細な情報提出が求められている。

調査結果として、国際的議論における店頭デリバティブ取引実態把握の重要性を踏まえ、本調査のような定量アンケート調査の継続実施が必要であることが示された。今後は大口ポジション保有事業者のリスクマネジメントに関するヒアリング調査等の追加的取組も求められるとしている。