令和5年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(火薬類爆発影響低減化技術基準検討事業)報告書

掲載日: 2024年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ鉱山・火薬類監理官付
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令和5年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(火薬類爆発影響低減化技術基準検討事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、火薬類爆発時の周囲への影響を低減するための技術基準策定について検討した報告書である。経済産業省委託事業として公益社団法人全国火薬類保安協会が実施し、火薬類取締法における保安技術基準の改正や事故原因解析等に必要な科学的データの取得を目的とした。

火薬類関連施設では万一の爆発時に保安距離を設けているが、過去の事故では周囲への影響が見られるため、影響低減措置の検討が急務となっている。本事業では爆風圧によるガラス破損対策と爆風による飛散物対策の二つのテーマについて、含水爆薬1kg、3.2kg、10kg、32kgを用いた爆発実証実験を実施した。

実験では爆薬量の3乗根に比例したL型擁壁を設置し、飛散物の飛散状況を詳細に計測した。その結果、飛散物の最大飛散距離は爆薬量の0.145乗に比例する実験式を得ることができ、これは過去のコンクリートボックスや土堤前面擁壁実験の結果と整合性を示した。また重量飛散物は仰角10度以下で飛散し、軽量飛散物の最大角度は24度であることが判明した。

窓ガラス破壊実験では一般的な窓ガラスの破壊閾値がピーク過圧5.13から5.66kPaの間にあることを確認した。さらに飛散防止フィルムを貼付したガラスは破壊されても一体として残り、飛散防止効果が極めて高いことが実証された。

委員会には爆発衝撃や土木材料などの専門家19名で構成される本委員会と15名の小委員会を設置し、実験計画の検討から結果の審議まで行った。これらの実証実験により得られたデータは、今後の技術基準策定において重要な科学的根拠となり、火薬類による災害防止と公共安全確保に大きく貢献するものである。