令和5年度 商取引・サービス環境の適正化に係る事業 (B2Bキャッシュレス取引促進にかかるコンテンツ内容調査事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、B2Bキャッシュレス取引における法人カード普及促進について書かれた報告書である。
経済産業省キャッシュレス推進室では、個人消費のキャッシュレス決済比率は2022年に36.0%まで向上したものの、事業者間取引におけるキャッシュレス化は十分に進展していない状況である。この課題解決のため、中小企業や小規模事業者における法人カード利用促進に向けた調査事業が実施された。昨年度の調査では、バイヤー・サプライヤー双方の利用機会の課題、カードの魅力が伝達されていない実態、与信限度額の低さや手数料に関する課題が明らかになっている。
本調査事業では、中小企業や小規模事業者がバイヤーとして法人カードを使用する場面を想定し、周知・PR用コンテンツの作成と団体・機関へのプレゼンを通じて効率的な普及施策の基礎情報を収集することを目的とした。調査は、デスクトップ調査およびサービス提供事業者との意見交換、導入事業者へのインタビューによる事例収集、団体・機関へのコンテンツプレゼンという段階的なアプローチで実施された。
調査を通じて、プロダクト、ターゲット、タイミング、チャネル、訴求ポイントの5要素区分において計19個の訴求要素が洗い出され、さらに団体・機関へのフィードバックを通じて25個まで拡大された。プロダクト面では、ビジネスカードとパーチェシングカードの認知度差による周知方法の違いが確認され、ターゲット面では中小企業と小規模事業者の意思決定プロセスの違いが明確になった。また、創業前後の企業はカード導入が進みやすく、業務効率化メリットの訴求は経済的メリットより難易度が高いことが判明した。行政機関には、民間企業の効率性が低い領域へのサポート、創業支援における接点活用、適切な目標設定と指標の調査・開示が求められている。
