令和5年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(百貨店及び取引先等で活用されるEDI等デジタル化に向けた実証事業)」報告書
報告書概要
この報告は、百貨店及び取引先等で活用されるEDI等デジタル化に向けた実証事業について書かれた報告書である。令和5年度に実施された本事業は、前年度の調査で明らかになった百貨店業界におけるEDIの普及や刷新、伝票の標準化といった課題を解決するための実証事業として位置づけられている。事業の基本方針は、百貨店・メーカーの受発注において紙取引やEDI・紙取引併用事業者の取引をデータ化し、業務効率化を図るとともに、少数取引となる取引先の参入を容易にする仕組みの検討である。実施内容は「伝票標準化」「データ連携詳細設計」「EDI普及・刷新」の3つのテーマに区分され、それぞれワーキンググループを組成して検討を進めた。伝票標準化では百貨店統一伝票の標準化から取り組み、紙伝票の電子化に向けた課題整理と検証を行った。データ連携詳細設計では、電子化された取引データと物流事業者が必要とする納品伝票等の物流情報を連携させる仕組みを検討した。EDI普及・刷新では、百貨店EDIの今後のあり方やさらなる有効活用方法、共同化・統一化について検討を行った。実証実験を通じて、発注や納品依頼の運用のばらつき、システム投資抑制、商品マスタコードの標準化不足等の課題が明らかとなった。今後の方向性として、百貨店統一伝票運用見直しの浸透、伝票電子化の社会実装、商流・物流手続きのデジタル化推進が示されている。
