令和5年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)報告書

掲載日: 2024年7月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サー ビスグループ消費・流通政策課
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令和5年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減について書かれた報告書である。経済産業省の令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業として、株式会社日本総合研究所が実施した実証実験の成果をまとめたものである。

本報告書では、食品サプライチェーンにおける現状の課題として、製造業では見込み生産による過剰在庫や不足時の臨時対応、小売業では需要予測の困難さによる過剰発注や前日発注の慣行といった問題を整理している。これらの課題解決を目指し、ID-POSデータを活用した需要予測による小売業の発注精度向上と、需要予測に基づく発注データを活用した生産計画の精度向上という2つの実証実験を実施した。

実証実験の結果、ID-POSを用いた需要予測により小売業の発注精度が向上し、地域単位での需要予測によってさらなる精度向上が可能であることが示された。また、納品2日前発注の実現可能性についても、AIを活用した需要予測モデルにより現状の人による前日発注と同等以上の精度を達成できることが確認された。製造業においては、豆腐製造業者の事例で受注生産体制により約70万円分の廃棄ロス削減効果が推計され、臨時対応等の業務負荷軽減も実現された。

今後の展開として、製・配・販の各層を越えたサプライチェーンのあり方として、卸売業者が地域の複数小売のID-POSデータを集約し、需要予測から発注までのコーディネーター機能を担う仕組みが提案されている。これにより、小売業者の負担軽減と物流効率化の両立が期待される。