令和5年度内外一体の経済成長戦略構築に係る国際経済調査事業(サービス国内規制参照文書妥結を踏まえた我が国のサービス貿易実態把握に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、サービス国内規制参照文書(SDR規律)の妥結を踏まえた我が国のサービス貿易実態把握について書かれた報告書である。サービス貿易の拡大は世界経済の活性化に資するものであり、企業が進出先において法的安定性や透明性を確保することが重要である。WTOのGATS第6条4項に基づく「必要な規律を作成する」規定について、1999年にルール交渉が開始され、2021年12月に日本を含む有志国がSDR規律について合意した。SDR規律は申請手続の合理化、審査の独立性、情報の公表、対応窓口の設立などを規定しており、72カ国・地域が参加し、2024年2月27日に44カ国・地域で発効した。調査では日本のサービス輸出の分析、有望市場の障壁調査、SDR規律発効によるメリット分析を実施した。サービス貿易は第1モードから第4モードに分類され、SDR規律は主に第3モード(業務上の拠点を通じてのサービス提供)に影響を与える。各国の行政手続における透明性や効率性の課題を調査し、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、フィリピン、ブラジル、メキシコ、サウジアラビア、UAEなどの状況を分析した。これらの国では外資規制、申請手続の複雑さ、審査基準の不透明性などの課題があり、SDR規律による改善効果が期待されている。
