令和5年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(RFIDに関するオペレーション・データの標準化)」報告書

掲載日: 2024年8月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
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令和5年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(RFIDに関するオペレーション・データの標準化)」報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、流通・物流業における人手不足やコスト高騰といった課題解決のため、RFID技術を活用した物流オペレーションの効率化について書かれた報告書である。

事業の目的は、メーカー・卸・小売という多様なプレイヤーが存在する消費財サプライチェーンにおいて、物流資材にRFIDが組み込まれた状態でのオペレーション・データのルール化を図ることである。具体的には、物流現場での入出荷検品、在庫管理、棚卸等におけるRFIDやバーコード等の自動認識技術活用のルール化検討と、実際のサプライチェーンを横断した実証実験を実施した。

ルール化検討では、アイテム識別、ロット識別、シリアル識別という三つの粒度レベルに対して、バーコードとRFIDをどのように活用するかを整理した。現状のバーコード(アイテム識別)を活用した物流オペレーション、バーコード(ロット識別)の先行事例、そしてRFID(シリアル識別)を活用した将来的なオペレーションのあり方について、製造メーカー、卸売業、小売業それぞれのプロセスを詳細に分析した。また、規格化されたRFID付き折り畳みコンテナである「スマートボックス」の活用も検討に含めた。

実証実験では、加工食品と日用品の二つの商品カテゴリーにおいて、メーカー工場から小売店舗までの実際の物流シーンでRFIDを活用した検証を行った。実験期間は最低二週間程度とし、メーカー二社以上、卸または小売物流センター二カ所以上、小売二店舗以上が参加した。商品数は、メーカー・卸間で十SKU以上、卸・小売店舗間で百SKU以上の実発注商品を対象とした。実験では、ケース商品、パレタイズド貨物、折りたたみコンテナ、かご車の入出荷をRFIDで認識するプロセスを検証し、ASN活用による検品効率化についても考慮した。

事業の成果として、RFIDは商品ケースや物流資材の物流効率化に有効であることが確認された。今後の方向性として、RFIDのソースタギングを進め、流通各段階で活用していくことが基本的な方針となる。ただし、開放的なサプライチェーンではRFID導入は段階的に進まざるを得ないため、RFIDと一次元・二次元バーコードを並行運用できるよう識別コードやEDI・データ連携の標準化を進めることが重要である。特に物流資材では比較的導入しやすいため、パレットに加えて折りたたみコンテナにRFIDを貼付するスマートボックスの社会実装を優先すべきとしている。