令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託Direct Air Capture の産業化に向けた環境整備に関する調査分析報告書
報告書概要
この報告は、直接空気回収技術(DAC)の産業化に向けた環境整備について書かれた報告書である。2050年のカーボンニュートラル達成には約数億トン/年のCO2除去が必要とされており、特にDAC技術の早期市場形成が急務となっている。本調査では、DACの主要技術として化学吸収、化学吸着、物理吸着、電気化学、炭酸塩化、膜分離、深冷分離の7つを分類し、それぞれの特徴と課題を整理した。各技術のCO2回収材料として、アルカリ水溶液、アミン、金属有機構造体、電極、高分子膜等が活用されている。海外の主要企業では、カナダのCarbon Engineeringが年間50万トンのSTRATOS施設をテキサス州で建設中であり、スイスのClimeworksがアイスランドでOrcaプラントを稼働させている。また、米国のGlobal ThermostatやオランダのCarbyonなど新技術開発も進んでいる。国内では、J-クレジット制度への展開を念頭に置いた方法論ドラフトを作成し、DACワーキンググループにて議論を実施した。論点として、DACの定義、廃熱の取扱い、上流排出量、再生可能エネルギーの取扱い、化石燃料併用、メタンリーク、方法論の境界、エンボディドカーボンの8項目について委員からの意見を集約した。これらの議論を踏まえ、社会実装に必要なルール形成の在り方を取りまとめることで、国内DAC市場の戦略的な育成を目指している。
