令和5年度地球温暖化問題等対策調査(国際資源循環及び海洋プラスチック汚染関連動向調査)報告書
報告書概要
この報告は、地球温暖化問題等対策調査として実施された国際資源循環及び海洋プラスチック汚染関連動向調査について書かれた報告書である。世界的な経済成長と人口増加に伴う資源・エネルギー需要の増大、廃棄物量の増加、気候変動の深刻化を受けて、線形経済から循環経済への移行が急務となっている現状を背景としている。国際社会では、G7資源効率性アライアンスやG20資源効率性対話において循環経済に関する議論が活発に行われており、ISO/TC323ではサーキュラー・エコノミーの国際標準化に向けた検討が進められている。欧州では2020年3月に新サーキュラー・エコノミーアクションプランが策定され、持続可能な製品政策パッケージの一環として新たなエコデザイン規則やデジタルパスポートの導入が発表された。日本では2020年5月に「循環経済ビジョン2020」を策定し、3Rから循環経済への転換を図る重要性を示すとともに、プラスチック、バッテリー、太陽光パネル等を重点分野として位置づけた。海洋プラスチック汚染問題については、2022年3月の第5回国連環境総会で決議が行われ、政府間交渉委員会が設立されて法的拘束力のある文書の作成に向けた国際交渉が開始された。本調査では、主要各国における資源循環政策動向を調査し、電気電子製品、バッテリー、自動車、太陽光パネル、金属、容器包装、プラスチック、繊維製品について分析を行った。また、海洋プラスチック汚染に関する政府間交渉委員会の第2回・第3回会合に参加し、各国の意見や提案文書を収集・分析した。さらに、産業界や専門家で構成する国内対応委員会を設置し、交渉戦略の検討と専門家派遣を実施した。
