令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(革新的脱炭素製品・技術の早期市場化に向けた、初期需要創出に関する分析・調査事業)最終事業報告書
報告書概要
この報告は、革新的脱炭素製品・技術の早期市場化に向けた初期需要創出について書かれた報告書である。2050年ネット・ゼロ達成に向けて、革新的脱炭素製品・技術の早期社会実装が急務となっている中、政府による需要創出の重要性が指摘されている。本事業では初期需要創出に関する国内外の制度及び事例の収集、国内での初期需要創出に向けた産業特定と課題分析、早期需要創出に関する方策の検討を実施した。初期需要創出は商用化前後のステージを含み、研究開発段階から事業化初期段階の技術への事前コミットメントや実際の調達を通じて需要を直接喚起する動きと定義されている。各国の取組事例では、米国のSBIRやHorizon Programのような政府調達による事前コミットメント、認証・表彰制度による商品価値向上、補助金による価格差補填などの手法が分析されている。成功要因として、開発成功後の調達確約による量産体制整備、明確な基準設定、民間先導の基準活用などが挙げられている。一方、失敗要因として事業化への結びつきの弱さ、地方政府の巻き込み不足、調達対応コストの高さ、技術未熟段階での早期基準設定による新規技術参入阻害などが指摘されている。国内においては地方自治体のグリーン調達が公共調達の約6割を占めるものの努力義務に留まっており、脱炭素先行地域や独立行政法人との連携可能性、化学品業界などスタートアップ参入が盛んな分野での自治体調達による成長支援の重要性が示されている。
