令和5年度皮革産業振興対策調査等(日本製皮革及び皮革製品のサステナビリティ推進事業)事業実施報告書

掲載日: 2024年8月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局生活製品課
委託事業者: 株式会社ワンオー
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令和5年度皮革産業振興対策調査等(日本製皮革及び皮革製品のサステナビリティ推進事業)事業実施報告書のサムネイル

報告書概要

この報告書は、令和5年度に実施された日本製皮革及び皮革製品のサステナビリティ推進事業について書かれた報告書である。

国内皮革関連産業は高い技術力を有するものの、家計消費支出の低迷、市場規模の縮小、生産量の減少といった課題に直面している。また、川上から川下まで複数企業が関わることで分断化が生じ、産地企業は市場需要を把握できず、メーカーやブランドは産地の技術や特徴を直接知らない状況となっている。

一方、世界的にはサステナビリティ意識の高まりにより、消費者は製品の生産過程や環境・社会への影響に関心を持つようになった。皮革関連産業においても、環境負荷の軽減、有害化学物質の不使用、動物虐待防止などが重視され、LWG認証システムや正確な情報発信の重要性が増している。世界の皮革製品市場は年平均成長率6.2%で拡大が予測されており、特に欧米では高級品需要が増加している。

本事業では「Creative & Sustainable & Craftsmanship」をテーマに、国内の国際サステナブルファッションEXPOと海外のPITTI IMMAGINE UOMOへの出展を核とした展開を実施した。国内展示会では来場者数や名刺交換数で成果を上げ、特にサステナブルな取組への関心の高さが確認された。PITTI出展では、メンズコレクション発表の最高峰の場として、出展事業者に大きな反響があり、継続出展への意欲を示した。

情報発信事業では、浅草、東京、兵庫の3産地にフォーカスした記事を制作し、目標KPI20,000PVを大幅に上回る35,000PVを達成した。GoogleやSNSでの認知拡大、B2Bアプローチの実現など、中長期的な販促効果も確認された。広報活動では専用ウェブサイトの制作・運用、HTMLメール4回配信、プレスリリース作成により、バイヤーやメディアへの効果的な情報発信を実現した。

今後のファッション産業は、ラグジュアリー市場とマス・ボリューム市場への二極化が進んでおり、中価格帯市場は縮小している。消費者の価値観も変化し、価格の安さだけでなく、ブランド力、機能性、品質、持続可能性などの包括的な魅力が重視されるようになった。日本の皮革関連産業が国際競争に勝ち抜くためには、サステナビリティを標準装備とした上で、日本オリジンのクラフトマンシップとクリエイティブを融合させた包括的な価値創造が不可欠である。