令和5年度原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業(周辺地域と連携した甑島地域の観光活性化に係る調査事業)-調査報告書-
報告書概要
この報告は、甑島、薩摩川内市、いちき串木野市の3エリア連携による広域観光活性化に係る調査事業について書かれた報告書である。
令和5年度は3年目の事業年度として、ポストコロナの新しい行動様式を捉えた「多拠点居住サービス」を活用し、中長期滞在者をターゲットとした広域観光戦略の構築に取り組んだ。事業は4つの主要項目から構成され、広域連携体制構築、広域ルート開発、プロモーション、広域観光推進を通じて稼げる観光の実現を目指している。
計画検討会を5回、協議会を2回開催し、両市自治体担当者を中心とした広域連携推進の協議を行った。専門家からは関係人口拡大の視点で、従来の観光とは異なる土俵での戦略が必要であるとの助言を受け、ワーケーションやアドレスホッパー等の中長期滞在者をターゲットとした取組みを検討した。移住定住部門との連携の必要性や既存観光ターゲットとの相乗効果についても議論が交わされている。
多拠点居住サービス企業の協力により、甑島2物件、薩摩川内市本土1物件の計3物件4室の滞在拠点を開発した。11月上旬に4日間のモニターツアーを実施し、参加者から高い満足度を得ることができ、中長期滞在者に対する3エリアのポテンシャルが確認された。拠点の稼働実績では延べ21名が55泊し、9割以上が2泊以上の滞在となっている。
プロモーション展開では協力企業との連携オンラインイベントを実施し、甑島からのライブ中継配信を行った。モニター参加者や関係者によるSNSでの情報発信も活発に行われ、3エリアの認知向上とブランド力アップに一定の効果を上げている。
今後の課題として、観光領域での成果づくり、幅広い企業からのサポート獲得、観光団体の巻き込み、内実をつくってからの発信という4つの方針が示された。令和6年度は3エリアの関係人口拡大に向けた具体的な内実づくりに段階的に取組んでいく方向性が確認されている。
