令和5年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流情報の電子化・データ連携促進)報告書
報告書概要
この報告は、物流業界の効率化と物流情報の電子化・データ連携促進について書かれた報告書である。経済産業省の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」によると、2024年度には輸送能力の14.2%、2030年度には34.1%が不足すると予測されており、トラックドライバーの担い手不足と2024年4月からの働き方改革により物流業界は大きな変革期を迎えている。このような背景のもと、人口減少と労働力不足による物流バランスの崩壊に対応するため、フィジカルインターネット・ロードマップとスーパーマーケット等WG報告書が策定された。特に物流課題が深刻な北海道において、地域レベルでのフィジカルインターネット実現を目指し、紙伝票の代わりに電子データ交換を推進する取り組みが実施された。事業の目的は、最新の物流EDI実装による伝票の完全電子化効果測定、SIP基盤とのデータ連携テスト、蓄積物流データを活用した地域物流効率化シミュレーション分析、関係者への成果広報の4点である。実証実験では、ホクレン、イオン北海道RDC、国分北海道、北海道ロジサービスなど複数の物流拠点において、伝票電子化の検証と共同輸送マッチングの可能性が検討された。実験結果から、北海道での伝票電子化が実現可能であることが示され、SIP基盤の普及により明るい未来が期待される一方で、普及には業界横断的な取り組みが不可欠であることが明らかになった。また、物流効率化にはデジタル化だけでなく、リードタイム延長やドライバー作業負担軽減といった商習慣の見直しも同時に必要であることが判明した。現場からは、配車作業の属人化、検品作業における人員と時間の課題、長距離輸送における拘束時間超過などの具体的な問題が指摘されており、これらの解決には業界団体や政府による調整・リードが期待されている。
