令和5年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(EVやEV充電器の系統への影響に関する調査)成果報告書

掲載日: 2024年9月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室
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令和5年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(EVやEV充電器の系統への影響に関する調査)成果報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、電気自動車(EV)とEV充電器が電力系統に与える影響について書かれた報告書である。電力中央研究所が実施した調査では、2050年カーボンニュートラル実現に向けたEVの普及促進に伴い、普通充電器や急速充電器の配置によって局所的な電力需要増加が発生し、配電系統に負荷が集中して系統容量を超過する可能性があることから、系統混雑、電圧変動の2つの観点でシミュレーション評価を実施した。調査方法として、大阪府を対象エリアとした交通シミュレーションにより1日のEV走行および充電行動をシミュレーションし、EV充電需要カーブを作成した。さらに配電系統シミュレーションによりEV充電の配電系統への影響を評価した。EVの全体台数に対する通勤用EVの割合を25%、積載電池容量を40kWh、自宅充電器導入率を70%、事業所充電器導入率を25%として設定し、3kWの普通充電器と50kWの急速充電器を想定した。評価結果として、EV及び太陽光発電の導入割合が増加すると配電系統の潮流が増加し、配電用変電所の変圧器容量や配電線容量を超過する場合があることが判明した。特にHバンクにおいて太陽光発電が75%以上導入されると軽負荷期で容量超過が発生し、100%導入時には重負荷期でも容量超過が発生する。また、フィーダー毎に急速充電器が1500kW以上かつEVが100%導入されると重負荷期に配電用変圧器容量の超過が発生することが確認された。対策として、普通充電の充電時間シフト、EVからの放電、急速充電器への蓄電池併設、急速充電器の無効電力制御などが順潮流のピーク抑制や電圧変動抑制に有効であることが示された。