令和5年度中部地域ものづくり中小企業の事業化促進支援事業事業実施報告書
報告書概要
この報告は、中部地域のものづくり中小企業の事業化促進支援事業について書かれた報告書である。経済産業省中部経済産業局が委託してPwCコンサルティング合同会社が実施した令和5年度の事業成果を取りまとめたものである。
サポイン・Go-Tech事業は平成17年度から継続実施されているが、事業化率が目標50%に対して40%程度と低迷しており、より有効な事業化支援が重要となっている。ニーズの多様化やプロダクト・ライフサイクルの短縮化、新型コロナウイルス感染拡大、DX、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーなど激変する社会・ビジネス環境への対応が課題となっている。研究開発当初のターゲット分野での事業化に加え、研究開発成果を活用した他分野での事業化検討も必要である。
本事業では3つの主要なタスクを実施した。第一に、サポイン事業者等の事業化ニーズ調査・事業化ブラッシュアップ事業では、4社の支援対象企業に対してヒアリング調査を実施し、外部専門家2名を配置して事業化に向けた課題整理と施策立案・実施を行った。第二に、協業者等探索事業では、新たな協業者探索機会を提供するため、他地域のスタートアップによるピッチイベント「Meet up Chubu」を2回開催した。第三に、スタートアップ等との共創マッチング事業では、7社の支援対象企業に対して伴走支援、個別マッチング、フォローアップを実施し、13件の面談を組成して2件の有望案件を選定した。
事業化促進支援では、支援対象企業の取組状況に合わせた課題・ニーズの整理と支援策実行が必要である。事業者によって事業化フェーズや積極性が異なるため、現在の取組状況、抱えている課題、目指すビジネスモデル、展開先市場への接点を正確に把握し、適切な支援体制構築が重要である。共創に向けた場の構築では、ピッチイベントの効果を高めるため、社会課題に対して必要な技術・プレイヤーを整理し、バックキャスティングで登壇者選定や聴講者選定を行うことが有効である。
スタートアップとの連携意義は3つある。新規事業創出では、脱炭素や人手不足、DX加速等の社会情勢下で双方の強みを活かしたシナジーが生まれる。課題解決では、既存の枠組みに捉われないソリューションによって困難な課題を解決できる。意識変容では、最新テクノロジーや先進事例の共有により、特定業界に閉じがちなサポイン事業者等の知見収集と行動変容が期待できる。
