令和5年度製造基盤技術実態等調査(宇宙環境保全の国際ルールに関する戦略検討に向けた調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、宇宙環境保全の国際ルールに関する戦略検討に向けた調査について書かれた報告書である。近年、人工衛星の急激な増加とスペースデブリの発生により軌道上が過密状態となり、宇宙環境保全の重要性が高まっている状況を受けて実施された調査結果をまとめている。
報告書では、世界経済フォーラムを中心に検討されたSpace Sustainability Rating(SSR)という人工衛星の宇宙環境保全性を評価し事業者を格付けする国際フォーラム標準について詳細に分析している。SSRは2022年からスイス連邦工科大学ローザンヌ校のEPFL宇宙センターにより認証が開始されており、スペースデブリ除去等の軌道上サービスや持続的な宇宙利用に資する技術開発へのインセンティブ付与が期待されている。
調査では、SSRの妥当性検証を通じて、格付け方法に技術的課題が残っており、我が国企業にとって必ずしも有利でない可能性があることを明らかにしている。特に、英文文書提出によるコスト増や情報流出のリスク、算定ルールが我が国企業の取組みを正当に評価しない場合の悪影響等が懸念されると指摘している。
宇宙環境保全に関する国際ルールメイキングの最新動向調査では、各種国際会議への参加や有識者ヒアリングを通じて、Space Capacityの定量的定義の議論や保険におけるデブリ対策考慮等の動向を把握している。これらの動向が我が国企業や政策に与える影響度を分析した結果、現時点での影響は限定的だが、今後の普及状況によっては大きな影響を与える可能性があるとしている。
戦略検討では、科学的・技術的に妥当とのコンセンサスが得られる宇宙環境保全の国際ルール推進が重要であるとし、SSRの普及度合いと我が国への利害関係に応じた対応方針を提示している。具体的には、宇宙環境保全全般に関する戦略検討体制の整備、国際ルールメイキング動向調査の継続、SSRへの適切な対応、インセンティブ付与取組みの調査分析、国際イベントの有効活用という五つの戦略を提言している。