令和5年度宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(SERVISプロジェクト) のうち宇宙産業人的基盤強化に資する調査事業調査報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施された宇宙産業人的基盤強化に関する調査報告書である。世界的な宇宙活動の活発化に伴い、日本の宇宙産業規模拡大のため、人材確保が喫緊の課題となっている状況を受けて実施された。
調査では、宇宙関心人材のパイ拡大・プール化・流動化促進、専門人材教育・リスキリング、宇宙系企業の採用力強化という三つの課題に対応するため、職業訓練プラットフォーム構想、採用プラットフォーム構想、人材イベント構想という三つの施策仮説を設定し、検証を行った。
職業訓練プラットフォーム構想については、宇宙系企業11社へのアンケート調査により、宇宙ビジネスおよび宇宙政策領域の教育コンテンツに対する強いニーズが確認された。転職経験者12名からのヒアリングでは、商業の観点から宇宙を学べるコンテンツの不足が指摘された。海外事例調査では、ESAのYGTプログラム、MITの社会人向けオンライン講座、国際宇宙大学の短期集中プログラムなどが確認された。これらの調査結果から、基礎レベルの商業宇宙教育プログラムの開発と提供が効果的であるとの結論が得られた。
採用プラットフォーム構想では、企業の採用活動実態調査を実施し、転職候補者層への具体的な募集職種・ポジションの見える化、求められるスキルセットや経験の明示、他業界からの転職成功事例の認知向上が重要であることが判明した。これにより宇宙産業への就業に対する心理的ハードルを下げることが可能であるとの検証結果が得られた。
人材イベント構想については、2023年11月に試行的なイベントを開催し、参加企業の半数弱において本選考やインターンに進んだ候補者が生まれ、内定実績も確認された。継続開催により更なる成果が期待されるが、他業種からのハイスペック層や転職希望度の高い層のさらなる取り込みが課題として残った。また、企業の人事担当者向けワークショップも複数回開催し、採用力強化に関する情報共有や業界共通課題の見極めを行い、継続的な対話の場の設定が有効であることが確認された。
