令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物多様性総合対策事業)委託事業報告書

掲載日: 2024年9月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ生物化学産業課
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令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物多様性総合対策事業)委託事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和5年度における生物多様性総合対策事業について書かれた報告書である。本事業は、経済産業省からの委託により一般財団法人バイオインダストリー協会が実施したものであり、生物多様性条約の下での遺伝資源へのアクセスと利益配分、およびカルタヘナ法に関する取り組みを主な内容としている。

報告書では、2022年12月のCOP15において採択された昆明・モントリオール生物多様性世界枠組と、遺伝資源に関するデジタル配列情報からの利益配分に関する決定15/9について詳述している。この決定により、DSIの使用から生じる利益を公正かつ衡平に配分するグローバルな基金を含む多数国間メカニズムの設置が合意されたものの、16の論点について更なる議論が必要とされた。

2023年11月にジュネーブで開催された第1回公開作業部会においては、DSI自体の定義や使用範囲が明確にされないまま議論が進められ、基本概念については意見の一致が見られたが、具体的なメカニズムについては意見の乖離が極めて大きく、重要な概念や用語に関する共通理解の欠如が残った。バイオインダストリー協会は政府の交渉支援のため、産業界や有識者からなるタスクフォース委員会を開催し、各種オプションの評価とディスカッションを実施した。

国内利用者の海外遺伝資源への円滑なアクセスを支援するため、ABS専用ウェブサイトでの情報発信、セミナー開催、相談窓口の設置などの環境整備を行った。カルタヘナ法については、遺伝子組換え体の拡散防止措置や規則運用に関する最新情報を提供する説明会を開催した。

報告書では、BBNJ協定の採択により公海や深海底の海洋生物資源に関する国際拘束力を持つ条約が成立し、アクセスと利益配分の交渉環境が厳しさを増していることが指摘されている。DSIからの利益配分に関する交渉は相当に困難な局面に直面することが予想されるが、バイオテクノロジーがCBDの目的や人類が直面する問題の解決に寄与する分野であるとの信念を持ち、イノベーション創出を促進するための対話を継続していく必要があると結論づけている。