令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(外国人旅行者向け消費税免税制度にかかる免税店舗等の実態等調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、外国人旅行者向け消費税免税制度にかかる免税店舗等の実態等調査について書かれた報告書である。
PwCコンサルティング合同会社が令和5年度に実施した調査では、百貨店、ドラッグストア、家電量販店、総合スーパー、ライフスタイルストア等の免税店事業者6社と業界団体3団体にヒアリングを行った。調査対象は三大都市圏および一定数の外国人旅行者の免税店利用が見込まれる地域の事業者を選定している。
現行の消費税免税制度には免税販売型とカウンター返金型の2つの手続きフローが存在し、免税店事業者は様々な施策を講じている。免税購入対象者判定では従業員向けマニュアルによる標準化や不正リスクの高い個人への販売防止システムを導入し、多言語対応では指差し確認シートや音声翻訳機を活用している。また消耗品取り扱いの説明では梱包袋への注意事項印字、免税カウンターの混雑対策ではセミセルフ免税手続き機の導入などが行われている。
一方で現行制度には多くの課題が存在する。免税購入対象者関連では旅券上のスタンプ確認に時間を要し、日本国籍者の必要書類が令和5年4月に改定され対象外となるケースが増加している。免税対象物品関連では物品区分の判断基準が不明確であり、免税店事業者のコスト負担も重い問題となっている。
払い戻し方式への制度改正に向けては、税務リスクの軽減、出入国情報の電磁的連携による対象者判定の迅速化、不正利用者情報の共有、消耗品・一般物品区分の簡素化、上限額・下限額の見直し等が期待されている。諸外国の免税制度分析では、キオスクによる自動承認や両替商への委託による税関職員の業務負荷軽減、現金以外の還付方法による窓口混雑の解消などの施策が参考となる。
