令和5年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業対日M&A及び外国企業と日本企業との出資を伴う協業連携によるオープンイノベーション事例調査・事例集作成委託報告書
報告書概要
この報告は、日本企業と外国企業との出資を伴う協業連携に関する事例調査について書かれた報告書である。世界経済の急激な変化と経営環境の複雑化により、日本企業が持続的成長を実現するためには、外国企業との協業連携を通じたイノベーション創出やビジネスモデル刷新が重要な経営手法として位置付けられている。しかし、日本企業は海外資本に対する心理的抵抗感や社内体制構築の遅れから、外国企業との協業連携が諸外国と比較して遅れている状況にある。政府は「海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」を策定し、対日直接投資の促進に取り組んでおり、その一環として経済産業省が対日M&A活用事例集を公表している。本調査では、M&A以外の協業連携形態も対象とし、外国企業との共同出資や外国企業からのマイノリティ出資受入れを含む広範な事例を調査している。2000年から2023年における対日M&A等の件数は3,594件であり、そのうち外国企業による出資比率50%以下の案件が全体の64.0%を占めている。対日M&A等は過去20年間で件数が約3倍、金額が約5倍に増加しており、件数は過去最高水準となっている。協業連携の要点として、海外資本活用の背景、外国企業との接点、成果実現のための実施内容、協業連携前後の課題、成功のキーファクター、今後の成長展開が整理されている。外国企業との協業連携により、経営面では新事業モデルやイノベーションの創出と経営基盤の強化、事業面では営業・販売力の向上と生産・開発能力の向上、従業員面では人材育成・確保と労働環境の改善といったメリットが確認されている。
