令和5年度経済産業政策関係調査事業(モバイル機器の修理市場等における競争環境整備の在り方に関する調査)報告書

掲載日: 2024年10月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局競争環境整備室
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令和5年度経済産業政策関係調査事業(モバイル機器の修理市場等における競争環境整備の在り方に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、モバイル機器の修理市場における競争環境整備の在り方について書かれた報告書である。

欧米を中心として修理権への関心が高まり法制度化が検討される中、日本、米国、フランスを対象としてモバイル機器の修理市場に関する調査が実施された。調査は修理市場の規模調査、修理権に関する動向調査、市場拡大阻害要因の分析という三つの項目で構成されている。

修理市場規模の調査では、日本、米国、フランスの各国でアンケート調査を実施し、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンの修理市場規模を推計した。その結果、日本は0.12兆円、米国は3.45兆円、フランスは0.18兆円となった。日本ではスマートフォンが修理市場の56%を占める一方、米国とフランスでは44%であることが明らかになった。市場規模の推計は人口、一人当たり機器保有台数、一台当たり年間修理回数、一回当たり修理額の四つの変数を用いて算出されている。

修理権に関する動向調査では、各国の修理権関連法令や政策提言の詳細が調査された。特に米国コロラド州の修理権法やフランスの修理可能性スコア制度などの具体的な取り組みが分析されており、これらの制度導入後のマーケットの反応についても検討されている。修理権の導入により、メーカーが独占してきた製品修理に関するノウハウや交換部品の共有が促進され、消費者の権利保護と修理市場の公正性向上が期待されている。

市場拡大阻害要因の分析では、日本の市場環境において修理市場の発展を妨げる要因が考察された。調査結果から、各国の市場環境の違いが明確になり、日本における修理市場の特性と課題が浮き彫りになっている。また、パーツペアリングによる修理阻害などの技術的課題も指摘されており、今後の政策検討において重要な知見が提供されている。