令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業費(脱炭素成長型経済構造移行推進に向けた新興企業の振興等に係る調査事業)最終報告書

掲載日: 2024年10月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課
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令和5年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業費(脱炭素成長型経済構造移行推進に向けた新興企業の振興等に係る調査事業)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、脱炭素成長型経済構造移行推進に向けた新興企業の振興等に係る調査事業について書かれた報告書である。グリーントランスフォーメーション(GX)市場創出およびGX推進の観点からクライメートスタートアップの成長が重要であるものの、日本のクライメートスタートアップは企業数も少なく規模も限定的である現状が明らかにされている。海外と比較すると、中国、シンガポール、韓国、ブラジルなどの国々が1社あたりの調達額において日本を上回っており、日本のスタートアップを取り巻く課題は構造的なものであると分析されている。

クライメートテック分野の特有の難しさとして、技術の重要性が高く、必要投資が大きく期間が長期にわたること、多様性が高いことが挙げられている。工学・化学・農学など科学的な課題に基づく先端研究が競争力の源泉となる事業が多く、素材・エネルギー領域を中心に長期にわたる大規模な設備投資が必要な事業が存在している。また、脱炭素手段は様々であり、技術・プレイヤーの多様性が高いため、投資や事業連携の目利きができず、コラボレーションが進みにくい状況となっている。

これらの課題に対する方向性として、大学や研究機関に存在する有望技術をスタートアップとして事業化する仕組みの強化、特に設備投資が必要なミドルステージ以降での適切な資金供給や需要創出に取り組む施策の強化、技術のお墨付きや各種プレイヤー連携、共同投資など政策的な後押しが必要であると提示されている。さらに海外企業の事例として、Apple社による低炭素アルミニウムへの投資、PepsiCo社による持続可能なプラスチックとパッケージング事業への投資、General Motors社やFord Motor社による低炭素バッテリー原材料の長期契約締結などが紹介されており、これらの取り組みが日本のクライメートスタートアップ振興に向けた参考事例として位置づけられている。