令和5年度「近畿地域におけるバイオベンチャーの知財支援体制強化事業」総括事業報告書

掲載日: 2024年10月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局地域経済部バイオ・医療機器技術振興課
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報告書概要

この報告は、近畿地域におけるバイオベンチャーの知財支援体制強化事業について書かれた報告書である。政府は科学技術イノベーションやスタートアップ支援を重視しており、関西では「バイオコミュニティ関西(BiocK)」がグローバルバイオコミュニティの認定を受けている。バイオベンチャーにおいては知財戦略がビジネス成功の決定的要因となるが、知財戦略を構築できる人材の不足や適切な支援人材の探索困難といった課題が存在する。本事業では、バイオベンチャーへのヒアリング調査を通じて知財戦略の課題と支援ニーズを把握し、検討会において今後の知財戦略支援のあり方を検討するとともに、伴走支援を実施して知財とビジネスの支援人材連携の必要性と支援モデルを実証した。事業内容として、事務局設置、検討会開催、ヒアリング調査、伴走支援、意見交換を実施した。検討会では8名の支援人材による検討が行われ、伴走支援先の選定やヒアリング候補の検討、今後の支援内容について議論された。ヒアリングを通じて、バイオベンチャーは大学とのライセンス契約が資金調達の前提となり、高額なライセンス料や経験豊富な知財交渉者不在という劣勢状態でライセンス交渉に臨むことが明らかになった。また、設立後は大学と利益相反状態となり積極的支援を受けられず、起訴権が付与されない条件となってしまう課題が判明した。次年度以降の活動方針として、支援人材の充実と支援体制構築および支援窓口の一元化、経営人材プールの見える化、既存産業支援機関との連携、シード・アーリーステージのバイオベンチャー企業への重点的支援という4点が提言された。特に薬事戦略メンターの重要性や、BD・財務・知財専門家などに長けた経営人材のプール化、関西の産業支援機関との連携体制構築が求められている。