令和5年度化学物質規制対策(餌料投与法における試験条件の精緻化に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)において、難水溶性物質等の蓄積性評価の精度向上を図るための餌料投与法の試験条件の精緻化について書かれた報告書である。従来の水暴露法では評価が困難な難水溶性物質に対し、平成30年度から導入された餌料投与法による濃縮度試験において、生物濃縮係数(BMF)の試験結果にばらつきが生じることが課題となっており、信頼性の高い試験データを取得するための試験条件の見直しが必要とされていた。本事業では、試験結果のばらつきを抑制する要因として試験魚ごとの摂餌量の個体差に着目し、給餌量を1.5%/day、2.0%/day、2.5%/dayの3段階に設定した検討を実施した。被験物質として2,4-ジクロロフェニル-4’-ニトロフェニルエーテル(NIP)を用い、餌料濃度100μg/gで統一した条件下で試験を行った結果、各試験区におけるBMFの変動係数は24-29%の範囲にあり、給餌量の違いによる顕著な差は認められなかった。また、脂質含量5%で標準化したBMFについても同様の傾向が確認され、速度論による各種生物濃縮係数(BMFK、BMFKg等)においても試験区A及びBで顕著な差は認められず、排泄半減期についても試験区間で大きな差は見られなかった。有識者へのヒアリングを通じて試験計画の策定と結果の解釈を行い、今後の課題として基準物質の種類や濃度、被験物質濃度が試験結果に与える影響についての更なる検証が必要であることが示された。
