令和5年度化学物質規制対策(化学物質の分解性及び蓄積性に係る総合的評価の導入に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施された化学物質規制対策における分解性及び蓄積性の総合的評価導入に関する調査について書かれた報告書である。
化審法では新規化学物質について法定試験法に基づく分解性、蓄積性、毒性等の試験結果により国が審査を実施しているが、法定試験法のみでは実環境中での化学物質の挙動を十分にカバーできないという課題がある。また、国際的に認められた多数の試験法に基づくデータの利用が進んでいない状況である。このため、様々なデータや情報を組み合わせて総合的に評価するウェイトオブエビデンス(WoE)や統合的アプローチ(IATA)の活用が期待されている。
本事業は昨年度に引き続き、化審法へのWoE等の導入に係る取組として、生分解性評価マニュアルの改定案とテストケースを用いた妥当性確認、底生生物への蓄積が懸念される化学物質の傾向把握、低懸念高分子化合物の評価合理化に向けた基礎資料の取りまとめを目的として実施された。
分解性評価への WoE 導入検討では、昨年度作成されたマニュアル案に基づくテストケースの実施、生分解性評価に用いる情報・データの品質評価方法及び判断基準の明確化、環境媒体への分布評価、残留性変化物の予測モデル及びツールの活用範囲整理等を行った。蓄積性評価への WoE 導入検討では、底質環境の影響や底生生物への蓄積が懸念される化学物質の傾向把握を実施した。低懸念高分子化合物の評価合理化に向けた検討では、第6類及び第7類高分子化合物に関する検討課題への対応、試験結果のデータベース化、低懸念と考えられる高分子化合物の抽出・整理及び合理化に向けた検討を行った。これらの取組により、実環境での挙動を反映した評価・審査の精緻化や合理化、科学的妥当性の向上、試験法の国際整合化等が期待される。
