令和5年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(高齢者向け製品の安全性規格等検討事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、高齢者向け製品の安全性規格等検討事業について書かれた報告書である。超高齢社会における高齢者の製品事故対策として、身体・認知機能の低下に配慮した安全な製品開発を支援するため、高齢者の身体関連データの取得・整備を目的として実施された調査研究である。事業では、高齢者の身体保持特性に焦点を当て、椅子からの立ち座り動作における姿勢保持計測を実施した。姿勢保持計測用テーブルと荷重センサを新たに開発し、テーブル形状や手を着く位置を変化させた計測を行い、身体保持に有用なデザインの方向性を明らかにした。また、YKK AP株式会社、マツ六株式会社、ピジョンタヒラ株式会社と連携し、車いす利用時の引戸開閉、手すり、テーブル高の違いによる生活動作の安全性に関する実証実験を実施し、製品開発のベストプラクティス創出に向けた知見を得た。高齢者行動ライブラリのコンテンツ拡充では、動画検索機能の見直し、関節可動域データの新規掲載、セキュリティ脆弱性への対応を行い、企業の製品開発支援機能を強化した。身体保持機能の評価基準案検討では、家具などに対する評価項目や評価指標を実験結果に基づいて検討し、実生活環境でのデータ取得と分析を実施した。今後の展望として、高齢者製品安全分野における階層的構造の基準体系構築の重要性を指摘し、製品開発支援データの整備、日常生活での製品評価方法の開発、実態に即した評価基準や基準値の検討が必要であることを述べている。
