令和5年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(ベトナム国・北部地域における低炭素物流/内陸水運改善及び事業化調査事業)ファイナルレポート
報告書概要
この報告は、ベトナム北部地域における低炭素物流と内陸水運改善を目的とした事業化調査について書かれた報告書である。
調査の背景として、ハイフォン港のコンテナ貨物量増加に伴い、ハノイ-ハイフォン間の国道5号線でトラック輸送による深刻な渋滞と交通事故が頻発している現状が挙げられる。この課題解決策として、トラック輸送から内陸水運へのモーダルシフトによる低炭素物流システムの構築が提案されている。
調査は山九株式会社と日本工営株式会社により実施され、ハイフォン港からハノイ市周辺までの約100キロメートルの内陸水運ルートを対象としている。調査内容には、ベトナムの物流事業動向分析、内陸水運関連インフラの現状把握、河川調査による航路安全性の検証、内陸水運ターミナル計画の策定が含まれる。
事業計画では、128TEUから160TEU積載可能なコンテナバージを使用し、ハノイ近郊に2カ所の河川港ターミナル建設を想定している。各ターミナルは10ヘクタールから15ヘクタールの用地規模で、岸壁荷役クレーンやトランステーナなどの環境配慮型荷役機械の導入が計画されている。
CO2削減効果の検討では、2028年事業開始時に年間約24,000トン、2040年全面展開時に年間約95,000トンの削減効果が期待される。また、将来的には電動ハイブリッドや水素混焼など環境配慮型バージの導入可能性も検討されている。事業実施に向けては、環境社会配慮手続きの遵守、気候変動リスクへの対応、DX技術を活用したスマートポート構想の実現が重要な要素として位置づけられている。
