令和5年度化学物質規制対策(化管法の見直しに関する調査)調査報告書

掲載日: 2024年10月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課化学物質リスク評価室
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報告書概要

この報告は、化学物質の排出量の把握及び管理の改善に関する法律(化管法)の見直しに関する調査について書かれた報告書である。経済産業省の委託事業として令和5年度に実施された調査の成果をまとめており、化管法の中長期的課題の検討から具体的な制度改善策まで幅広い内容を扱っている。

本調査の主要な背景として、化管法は平成11年に制定され、事業者による化学物質の自主的管理を促進することを目的としているが、前回見直しから10年が経過し、新たな課題への対応が必要となった状況がある。令和元年の合同取りまとめを受けて、令和2年に対象物質の見直しが行われ、令和3年に化管法施行令が改正されたことから、適切な施行に向けた調査検討が求められている。

報告書では化管法の中長期的課題として、排出係数の比較検証や二種移行・除外物質のフォローアップ方法の整理を行っている。化管法推計排出量とPRTR届出排出量の詳細な比較分析により、排出量推計における課題を特定し、物質選定における課題の整理も実施している。特に農薬の定義や移動量の観点で選定された物質、土壌・埋立排出量などの論点について検討を加えている。

PRTR排出量等算出マニュアルの見直しも重要な取り組みとして位置づけられ、令和3年の化管法施行令改正に対応するため、物質変更に伴う排出量算出方法及び排出係数の見直しが実施された。業界団体へのヒアリングを通じて事業者の取扱い実態を踏まえた記載内容の修正を行い、より実用的なマニュアルの作成が図られている。

PRTR届出の電子化促進も重要な課題として取り上げられ、事業者が電子届出を行っていない理由の把握と課題の抽出・整理を行った。課題解決に向けた対応策の検討とともに、自治体セミナーへの動画提供や普及啓発チラシの作成などの事業者支援が実施されている。

化管法及びその見直しに関する周知活動として、化学物質管理セミナー2023が開催され、改正後の化管法の実施や化管法を取り巻く状況について事業者への情報提供が行われた。暴露評価モデルのMETI-LISの紹介、GHS分類及びSDS作成方法、NITE-Gmiccsに関する内容が含まれ、事業者の自主的かつ適切なリスク管理の実施を支援している。

ツールを活用した化学物質のリスク評価に関する調査では、令和4年度の調査結果を踏まえ、暴露モデルの特性に適した事業者における活用方法について詳細な検討が行われている。リスク評価における暴露評価ツールの活用や自治体への情報提供等について具体的な調査が実施され、実用的な知見が蓄積されている。