令和5年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(輸出促進のための新しいマーケティング手法等の調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施された中堅・中小企業の輸出ビジネスモデルの調査・実証事業について書かれた報告書である。我が国は輸入超過・貿易赤字の状況にあり、特に中堅・中小企業の輸出が限定的である一方、世界の貿易額は成長傾向にあり、海外では中堅・中小企業も含めて輸出で成果を上げる国が見られる。この背景を踏まえ、輸出における新たなマーケティング手法等の国内外における先進事例を参考に、中堅・中小企業を中心として我が国の輸出拡大を促進するための戦略を策定することを目的として調査研究が実施された。調査対象は個別の中堅・中小企業の狭義のマーケティングに限らず、大手・バリューチェーンの一連・エコシステム化も視野に入れ、世界の輸出入の市場規模・成長と日本の輸出規模・シェアを踏まえて、優先強化分野として食、ファッション/ライフスタイル、ヘルスケア、ITサービスの4分野、波及効果の創出分野として機械、自動車、インフラ/都市開発、コンテンツ/IPの4分野、計8分野が選定された。現状分析では、中堅・中小企業は輸出の実施や拡大に向けてバリューチェーンに亘って課題に直面しており、デリバリーの支援不足をはじめ、企業が公的支援を十分に把握・理解できず使いこなせていない問題、輸出意欲の低さ、単体での競争力発揮の困難さなどが明らかになった。国内外の先行事例分析では、「個」社での輸出と企業「群」での輸出の2種類の取組みが確認され、群展開では国内・分野内のパッケージ化、国内の他分野との抱合せ、国内企業との流通の共同化、海外の有力企業との協業の4つの類型が示された。これらの分析結果を踏まえて、取組み方針案では「個」展開と「群」展開の両輪で輸出を促進する方針が提案され、「個」展開ではデリバリーの情報提供と総合窓口の設置、「群」展開では推進役の立ち上がりを促進する支援策が提示された。
