令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(産業競争力強化法に基づくエネルギー利用環境負荷低減事業適応の利用状況等に関する調査)調査報告書

掲載日: 2024年10月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課GX推進企画室
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令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(産業競争力強化法に基づくエネルギー利用環境負荷低減事業適応の利用状況等に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、産業競争力強化法に基づくカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の利用状況と政策効果について書かれた報告書である。デロイトトーマツ税理士法人が2024年3月に実施した調査では、現行制度の確認、税制利用企業の分析、利用企業と非利用企業の比較分析、設備投資に関する調査、類似制度の調査、日本全体の炭素生産性向上率との比較という5つの定量及び定性分析を通じて、税制改正に向けた検討を行った。

税制利用企業162件の記述統計分析により、幅広い地域・業種・規模の企業が本税制を利用していることが確認された。しかし、中小企業者の利用割合が大企業に比して低いことが明らかになり、カーボンニュートラルに向けた取組の課題として対応コストの高さが中小企業者の阻害要因となっていることが判明した。税制利用企業と非利用企業の比較分析では、本税制がCO2削減へ一定程度寄与していることが確認され、設備投資の実態調査からは本税制が企業の脱炭素化を一定程度促進させた可能性があることが示された。

類似制度の調査では、米国が10年間の長期にわたって生産比例型の税額控除措置を実施していることが確認された。また、2030年46%削減及び2050年カーボンニュートラルの目標達成のためには、炭素生産性ベースで3年間で17.2%の向上が必要であることが明らかになった。これらの分析結果を踏まえ、本報告書では税制のさらなる改善に向けて5つの総合的な示唆を提示している。第一に適用期間の長期化として5年程度への延長、第二に炭素生産性の要件を現行の7%/10%以上から17.2%程度への見直し、第三により多くの中小企業者の脱炭素化投資促進のための改善、第四に政策評価に必要な適正なKPI設定の方向性、第五に申請ガイドラインへの豊富な計算事例掲載などの申請手続改善が必要であると結論付けている。