令和5年度皮革産業振興対策調査等(国内皮革産業における環境負荷調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、国内皮革産業における環境負荷について書かれた調査報告書である。経済産業省からの委託により有限責任監査法人トーマツが実施した令和5年度の調査であり、皮革産業振興対策の一環として環境負荷の実態を詳細に分析している。
調査は原皮処理の現状調査から始まり、原皮廃棄時の環境負荷、皮革製品製造時の環境負荷、水使用状況調査、そして我が国皮革関連産業の持続的発展に資する動向調査の5つの主要領域で構成されている。特に原皮廃棄については、国内では事業系一般廃棄物として焼却処理が行われ、水分量が約65%と多いため脱水や燃料投下が必要であることが明らかになった。
温室効果ガス排出量の算定では、CFPガイドラインに基づき生物由来廃棄物のCO2排出量はゼロとして扱われるものの、焼却処理時には実際に脱水や燃料投下が行われることが確認された。また動物性残渣の焼却に伴いメタンと一酸化二窒素が排出されることも示されている。
皮革製品製造における鞣し工程と製品製造工程の水使用状況調査も実施され、環境負荷の具体的な数値データが収集されている。さらに国内外の皮革関連企業のサステナビリティへの取組状況を比較調査し、LWG認証の調達割合や環境配慮素材の利用状況を分析している。
海外企業では動物皮革製品を扱う企業の大多数が将来的にLWG調達割合100%を目標としているのに対し、国内企業ではLWG認証調達割合の目標を表明している企業は3社にとどまるものの、10社中9社が環境配慮素材の利用を公表していることが判明した。この調査結果は我が国皮革産業の持続的発展と環境負荷軽減に向けた今後の施策立案の基礎資料として活用される。
