令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業バイオ産業の振興に向けた動向調査報告書
報告書概要
この報告は、バイオものづくりの振興および革新的医薬品等創出に向けた課題調査について書かれた報告書である。バイオ技術は近年急速な進歩を遂げており、環境問題や経済安全保障の観点から重要な技術として注目されている。細胞や臓器等を活用して物質を生成するバイオエコノミーの世界市場は2030-2040年には200兆から400兆円に達するとも予測され、医療・ヘルスケア以外にもエネルギーや食品等の広範なアプリケーションが期待されている。政府の2022年6月の「新しい資本主義実行計画」でも、バイオテクノロジーは国益に直結する科学技術分野として位置付けられ、新たな国家戦略策定の方針が示されている。日本は技術的な強みを持つ一方で、実用化や社会実装に向けては多くの課題が存在し、法律上の位置づけや従来製品と比較した社会的価値等の整理・議論が不十分な状態にある。本調査では、バイオものづくりに関する動向調査として海外企業の取組み、市場規模・官民投資額の算出、海外の規制・認証規格の調査、政策議論の検討を行った。また、革新的医薬品等創出のインセンティブとして、既存製品の事例調査、各国のインセンティブ調査、日本におけるインセンティブのあり方議論を実施し、バイオ技術が生み出す革新的製品の適切かつ迅速な市場参入を促進するための環境整備について提言を行った。
