令和5年度地域DX促進環境整備事業(データに基づく地域未来牽引企業調査・分析事業)最終報告書
報告書概要
この報告は、地域未来牽引企業のフォローアップ調査と更新基準作成について書かれた報告書である。
経済産業省が2017年から2020年にかけて選定した約4700社の地域未来牽引企業について、その経営状況と地域経済への影響を定量的に分析している。地域の稼ぐ力を高めるため、高い付加価値を創出し地域経済を牽引する企業として選定されたこれらの企業が、実際に期待される役割を果たしているかを検証することが目的となっている。
フォローアップ調査では、5つの評価軸である稼ぐ力、生産性、経営力、地域牽引力、研究開発の27種類の指標を用いて、地域未来牽引企業、地域経済牽引事業者、全国企業など6つの企業群を比較分析した。新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、地域未来牽引企業と牽引事業者は売上高と従業員数の中央値が増加傾向にあることが確認された。特に域内調達額と域外販売額の増加により、地域外から獲得した資金を地域内に還元し、地域経済に貢献していることが明らかになった。
更新基準の検討では、2025年度の更新に向けて現行の選定基準の妥当性を検証している。選定時点と2023年7月時点のスコアを比較した結果、大きく変動する企業が一定数存在し、その主要因は利益の変動であることが判明した。有識者である一橋大学の岡室教授へのヒアリングでは、5年振りの更新であれば実態に即した基準変更に意味があるとの見解が示された。特に結節点指標の算出方法見直し、付加価値額の活用、売上高営業利益率の採用、雇用貢献度と利益成長性の比重検討が提案されている。
